最終日
ようやく自分のルアーでの釣りである。
今日は前日までと違い軽い曇り空である。
朝一番はお互いに自信のあるトップウォーターから始める。
私は個人的に一番実績のあるRICO(日本名はマイケル)をスピニングタックルに結びキャストし始めた。
やはり日本製のルアーは動きがよく、軽くロッドアクションをするだけで良い感じでスプラッシュさせることが出来気持ちが良い!
開始後間もなく水面を切り裂く爆発音がし、ルアーが水中に消し込んだ。
ロッドに重みを感じながらフッキングをすると確かな重みが伝わっており、スピニングタックルを使っている関係もあり既にロッドは満月にしなっている。
ドラグを何回か出されながら楽しみながらやり取りをしランディングすると、まあまあサイズの推定4lb、50cmという魚であった。
メキシコでなければ飛び上がって嬉しがるサイズであるが、ルアーを丸呑みでエラにフックがささり流血状態だったので今回は写真も撮らずにリリース。
さすがに「自分のルアー、釣れる魚もデカイ」と思ったのも束の間でその後はまた河口湖サイズが続くが、さすが日本製のルアーは動きがよくポッパー、ペンシルとルアーローテーションをして2人で30本ほどはトップウォーターで水揚げをする事が出来た。
新海さんの5.5lb
(後ろはガイドのエンドリケ) スピナベでキャッチした5.3lb
自分のルアーを使っての釣りは本日だけなので、とにかく色々なルアーを試してみたいので巻き物系中心でキャストしまくる。
10時ごろになると先ほどまで曇っていたのが晴れになり気温がかなり上がってきた。
一応12月は寒かったとの話だったのでこの2日ほどの気温上昇によりデカイ魚がシャローに上がってきているのを期待して岸際へのキャストを続けると心なしかサイズアップされてきた気がしてきた。
しばらくしてボディーウォーターに面した急峻な2つの岬をはさんだ入り江のグッドポイントにて新海さんがスピナベで5.5lbをキャッチ。
これによりデカイ魚がシャローエリアに上がってきている事を確信し、水中島のような水深1mにも満たないポイントでデプスのBカスタムを投げまくり私も5.3lbをキャッチ。
その後も明らかに今までよりはサイズの良い魚を数本追加して午前中の釣りを終了し午後の釣りにも大分期待がかかった。
昼にボートランプに戻るとアメリカ人のグループも「結構釣れたよ」と上機嫌であり湖全体としても調子は上向きのようである。
アメリカ人の一人が7lb揚げたというので写真を見せてもらうとどうも「????」という感じであった、アメリカ人は身体が大きいから魚が小さく見えるのか?それとも測ってないのか?まあ去年のバカラック釣行記を見てもらうとこの謎はわかるでしょう。
午後はいよいよロッジマネージャーのベニーのガイドである。
ベニーのボートは他のガイドの物より良く、80psのエンジン、ステアリング、フットコンエレキ付の本格的な仕様で最後に出船したにも関わらずあっと言う間にアメリカ人の船を追い越して行きなかなか快適だ。
またベニーはエンドリケと違い、「俺がデカイ魚を必ず釣らせてあげるよ! 夕方になったらあそこのポイントにてトップウォーターで釣らせてあげる」といった感じで非常に頼もしかった。この時点ではベニーのガイドとしての力量は未知数であったが、こういう風に自信を持ってガイドしてくれるとこちらの集中力も上がり非常にプラスになる。
スピナベで来た5.4lb 新海さんの6lb
最初に来たポイントは今までよりも更に上流の立ち木の密集したエリアであった、フットコンのエレキなので我々が操船しながら釣りを進めることとなった。
最初は新海さんの操船で釣り始める。
1投目から新海さんにバイトがあり、その後本当に1キャスト1フィッシュ状態で魚を揚げている。私の方は最初のキャストでブレーキの調整が悪くバックラッシュしてしまい、これを直している間に新海さんに次々に魚を上げられてしまう。
かなり焦ってしまうもののどうにかキャストを始めた。
新海さんは4lb、4.5lbを既にキャッチしやばいぞ、という状態であったが私の方にも間もなく5.4lbが来てホッと一息であった。
同じエリアで更に新海さんが今回の釣行にて自身最大の6lbをキャッチした。
ベニーは身体もでかいのだが言う事もデカイ、この状況を「想定の範囲」とばかりに「Benny is good guide? or no good guide?」を魚が釣れる度に繰り返し聞いてくるので「Off course, good guide」と答えるが、そのうち「お前はとてもグランデなガイドだ」、とか「クレイジーなガイドだ」とか冗談モードになってくる。
360度こんな感じのポイントも
果敢に攻める! クーラーボックスのバス!
新海さんが取った5lb
(ベニーの嬉しそうな顔) ベニーの釣った3lbフィッシュ
さすがにこのエリアの魚を釣りきってしまったようでバイトが遠のいて来たので移動する事に。
この時点でも「ベニーの奴、なかなかやるな!」と言う印象を持ったがその後もすごかった。通常のガイドでは踏み込まないような360度立ち木に囲まれたようなエリアにも果敢に進んで行ったり、岩盤エリアをハードルアーでスピーディーに釣りあがったりと非常に理にかなったガイドをしてくれ非常に楽しい時間を過ごす事ができた。
また、ボートの前方はすべて我々が使い、常にデカイ魚を我々に釣らせる配慮も忘れない。また、我々のタックルにも興味津々のようであったが決して使わせてくれとも言わずに「ワームを1つくれ」といっただけであった、勿論昨日までタックルを使わせてもらってたので断る理由も無く「好きなルアーを使ってくれ」と言っても遠慮して「1個だけでいい」との事。更に我々がグッドサイズを釣ると我が事のように喜んでくれて、まさにガイドの鏡のような奴であった。
また次の日の食事用にミディアムサイズはクーラーボックス行きとなったが、最後にはクーラーボックスが満タンであった。
夕焼けの中ガイドのベニー 美しいメキシコの夕焼け
ここまでは最終日の午後に相応しい展開であるが何かが足りない。そうである、10lbオーバーの大物である。
時計も5時半を回り夕焼けが美しい時間帯になりそろそろ終了の時間が近づいてきた、そして最後のポイントへボートを走らせる。
かなり上流まで来ていたので20分ほどボートを走らせ、最後のポイントはボートランプに近い岩盤の岬エリアであった。
ベニーから「ラスト5分」の声がかかり最後のポイントも今日最も実績の高かったBカスタムを岸際にキャストする。しかし何本か魚をキャッチするもののサイズは伸びず、岩盤エリアの切れ目に近づきベニーより「ラスト2投」の声がかかる。
10lbかと思わせる引きだった5lb11oz
(このマジックがわかるかな?)
これで終わったな、と思いながらもキャストすると根掛りのようにルアーが動かなくなる大物特有のバイトが伝わってきた、渾身のフッキングをすると一気にそいつは走り出した。
運良く立ち木の無いエリアだったので慌てる必要はなかったが、そいつは今まで味わった事の無いすごい引きで目一杯閉めているドラグを引き出しリールが全然巻けない。
しかしベニーの指示に従いそいつを沖に誘導したので後は相手が疲れるのを待つだけだ。
そいつは下へ下へと潜る為にサイズは確認できないが脳裏に10lbオーバーの文字がちらつく。
5分ほどの格闘後ようやくそいつも疲れてきたようでついに浮いてきた、慎重によせてネットイン。
しかーし、「何故か小さい、どうみても6lbあるかどうかである」。
計測しても6lbにわずかに足りない5lb11ozであった。
うーん、こんな奴でもすごい引きだ。
ベニーも新海さんも当然ランカークラスの大物を想像していたのでみんなで苦笑いをしてしまったが何にしても嬉しい魚であった。
最後に今回のツアーを象徴するようなオチもついたところで今回のツアーも納竿となりボートランプに到着する事には夕闇が迫っていた。
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